「エリヒョン、俺と付き合ってください!」
意を決して口にした俺の言葉に、エリヒョンの目がひと際大きくなる。
いつも冷静でありながら、奥底に強い情熱を秘めた瞳
…俺の好きな目だ
続きを読む >>
スポンサーサイト
テーマ:二次創作(BL)
ジャンル:小説・文学
「俺は…エリヒョンになら抱かれても良いよ…」
自分の耳を疑った。
「な…に…バカ、なこ…とを…」
顎を掴まれたままで、視線を逸らせない。
続きを読む >>
テーマ:二次創作(BL)
ジャンル:小説・文学
手を…握られた。
俺と大きさはそれほど違わないハズなのに
とても大きく感じたのは、
俺と違って細くて長い指のせいだろうか。
今でも時々起きる、
ステージの上での強い緊張感と激しい動悸
汗と浅い呼吸が抑えられなくなる。
そんな時、
“ 大丈夫だ ”と言うように
手の甲をさする指に気付いた。
“ 大丈夫だ。ここに居る。皆、ここに居る ”
軽く手の甲を2〜3度さすった後、
そっと手を握られた。
何度か握りなおすように、強く、弱く
その後、小さい子どもにするみたいに
握ったまま軽く腕を揺すられた…
それだけで、涙が出そうだった。
俺は、ここに居ても良いんだ…
ここに、皆と一緒に、この人の傍に。
俺の居場所はここに在るんだ…
俺と皆を繋いでくれる
細くて長い、それでいて力強い指
大きくて優しくて温かい掌
俺の好きな手
俺の居場所を教えてくれる手
…俺の大好きな人の手
“ ありがとう。俺は大丈夫だよ ”
照れ隠しの笑みを、エリヒョンに返した…
「ねえ、エリヒョン…」
「ん〜?どしたぁ?」
「俺さぁ、来月、誕生日なんだけど…」
「おぉ!そういやそうだな。何か欲しい物でもあるのか?」
「うん…ある」
「何だ?」
「……エリヒョンが欲しい…」
「ブッッ!!!」
飲んでいたアイスコーヒーを盛大に噴き出したエリヒョンが、大きな目を更に大きく見開いて俺を見た。
「ゲホッ!な…にを…は…?ジン…?」
「驚いた?」
「あ…のなぁ!そういう冗談は止めろって!」
「本気だよ…?俺…」
「…っ?!」
とりあえず、顔を逸らされないように2人の間の机に身を乗り出し、エリヒョンの正面に顔を向けた。
至近距離でエリヒョンの顔を見詰める。
「前にさ…俺のパニックが酷かった時、一緒に住むかって言ってくれたでしょ?あの言葉がね…すごく嬉しかった。すごい支えになったんだ…あの日からずっと、ヒョンの事…」
逸らされない目、逸らさない目
「でもエリヒョンは皆に優しいから…他のヒョンたちやエンディは勿論、スタッフとかいろんな人に…皆、勘違いしちゃうよ?」
「…ジンにだけ優しくしろって?」
目を閉じて、額と額が触れそうな距離に顔を近づける。
「ううん…そうじゃない。メンバーやスタッフとは違う、俺だけの…俺だけに見せてくれる、そういうのが欲しい…」
「………例えば?」
エリヒョンの呼吸を感じながら、震えそうになる声を必死に絞り出す。
「……キス、して欲しい…」
「誕生日プレゼントにか?」
「うん…」
やっと言えた…そう思った数秒後、唇に温かく柔らかい感触。
驚いて、目を開き体を起こした。
そこにはニッコリ微笑むエリヒョンが居た…
「これは前祝いだ」
「…え?」
「当日までに頑張れよ?」
「え…えっ?」
「誕生日に本気のキスをできるかは、お前の努力次第って事だよ」
立ち上がり、笑いながら俺の頬に触れる手に、知らず笑みが零れた。
「俺!頑張るからっ!!」
「エリヒョン、俺…またソロ活動始めようと思ってるんだけど…」
驚きはしなかった
ドンワンやミヌ、ヘソンのソロ活動が続き、エンディは自らの個人事務所の子たちのプロデュースも忙しい中、ジンがそれを望むのは時間の問題だと分かっていたから…
「アルバム活動は、まだまだこれからが本番だぞ。早くても秋ぐらいからでないと」
「うん。それでも構わない」
「3月のコンサートにアジアツアー、その後のソロ活動となると、じっくりレコーディングって訳にもいかないぞ。それでもか?」
「うん…今、やりたいんだ。ツアーも気を抜いたりしない。今やりたい事を全力で挑戦したいんだ」
この弟は、こんな眼をしていただろうか
こんなに強い、熱い眼差しをしたこの弟を、かつて見た事があっただろうか…
弟という立場に甘んじた事はあっても、甘えた事は無かったと思う
優しすぎる程に優しいその性格ゆえに、傷つく事も多かった。
誰かを守れる強さがあるのに、自分を護る術を知らないかの様に
それが、俺の知っているパク・チュンジェという男だ。
「…分かった。俺も出来る限り協力するよ。何かあれば、いつだって相談しろよ?」
「ありがとう…ヒョン」
そう言って笑った顔は、俺がよく知っている弟の顔だった。
いつも見せる弟の顔、時おり見せる男の顔
俺たちの、俺の前で見せる表情が、ジンの全てだとは思わない
願わくは… “知らない誰か” にはならないでくれ…
「がんばれよ…」
人懐っこい笑顔のその頬を、そっと撫でた…
昨夏からのドラマ撮影、秋からのNew Albumのレコーディングにジャケット撮影、
今年に入ってからはMVの撮影に、12集活動、17周年コンサート、アジアツアー、
そして、集大成のアンコールコンサート
デスクの上には、山積みになったカンパニーの仕事
最終的に、熱を出して寝込んでしまうという結果になった…
「エリヒョン!大丈夫なの!?」
「う…ん…ジン…大声、出す…な…」
飼い犬のゴンドリでさえ見せたことのない勢いで飛び込んできた弟に声を掛ける。
「あ…ごめんね…ヒョン…」
「だいじょ…ぶだ…から…お前こそ…順調…か?」
7年ぶりのソロ・カムバックを迎えたばかりで、精一杯応援すると、力になると言ったのにこの様だ…
「俺の方は大丈夫だよ…気にしないで…」
「良かった…」
心配そうな目を覗かせる前髪を撫でながら
「直ぐ…良くなって…サポートするよ…」
やっと笑顔を見せるのに、目を閉じた…
次に目を覚ましたとき、俺の手を握ったまま隣で横になっているジンに気づく。
「ごめんな…ジン…」
そう呟いて、スタジオに向かわせる為、握られた手を揺すって起こした。
この記事はブロとも、もしくはパスワードを知っている方のみ閲覧できます
⇒
パスワード入力
⇒
ブロとも申請